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コラム会報誌研究発表

内分泌代謝内科の現在と未来!

はじめに

このたび獨協医科大学の創立 50 周年を迎えるにあたり、刷新された同窓会誌の発刊、誠におめでとうございます。

大学創立 50 年という長年期に亘り、運営に力を注いでこられた歴代の同窓会会長、役員、支部会の先生方、また、それを支えてこられた多くの先輩の方々に深甚なる敬意と謝意を申し上げます。

この機会に、小生の所属する内分泌代謝講座の現在と今後に関して、ご紹介させていただきます。

講座の紹介

~主な臨床姿勢~

当講座は 2013 年に3代目の主任教授としての麻生好正教授をお迎えして、9 年目となりました。麻生教授の教えのひとつとして、3S(スリー・S)があります。これは、Smile(笑顔)、Sympathy(共感)、Support(支持)の 3 つの S を診療の基本姿勢として患者さんに接し、これらを実践できる医療スタッフに成長できるようにという意味です。

医師のみならず、看護師、栄養士などの当科の診療に関わるメディカルスタッフや外来事務スタッフに対して、常に発信されています。さらに医師に対しては Study(勉強)の S を加えた 4S を求め、日々の診療に当たっています。

当講座では糖尿病や内分泌疾患、電解質異常などを専門に診療を行っています。特に糖尿病は、血糖の管理とそれによる様々な合併症の発症や進展予防が重要な疾患です。糖尿病の合併症は多岐にわたるため、糖尿病の知識のみならず、内科医としてより generality な対応能力が求められます。

今まで多くの糖尿病専門医を輩出してきましたが、現在は糖尿病専門医の取得だけでなく、総合内科専門医の取得も視野に入れた教育を行っています。回診やカンファレンスにおいても、糖尿病のみでなく、他の病態の把握など活発な議論を行い、日々研鑽を行っています。

内科医として内科全般に対応できる知識を身につけ、更により専門的に糖尿病治療を行える医師の育成に力を入れています。また、シークエンサー(サンガー法や次世代シークエンサー)を駆使した遺伝性の糖尿病や内分泌疾患の診断にも力を入れています。

~基礎研究・臨床研究紹介~

当講座では糖尿病や内分泌疾患を中心に基礎研究、臨床研究を行っています。基礎研究は、「脂肪細胞のインスリン抵抗性に関する研究」、「NASH モデルマウスにおける SGLT2 阻害薬の影響」、「動脈硬化進展の分子メカニズムの解明」などを行っています。

臨床研究は、「糖尿病神経障害」、「2 型糖尿病に合併した脂肪肝の薬物治療効果」などの研究を主に行っています。これらの研究は、国内だけでなく、海外の学会でも報告させて頂き高く評価されています。当講座の研究の特色として、糖尿病合併症に関わる病態の機序解明を強みにしております。この分野に着目している講座は、国内においても限られています。これらの研究は臨床に反映され、日常診療への橋渡し役となっています。

科学研究費取得に関しても、積極的に行っております。現在当科では、1白色脂肪の褐色化と糖代謝制御におけるMAIT 細胞の役割に関する研究、2糖尿病心筋障害に対する糖尿病治療薬の影響に関する基礎的検討、3新たな 2 型糖尿病腎線維化モデルマウスの開発および解析から迫る糖尿病性腎症病態、の 3 つを取得し、研究を行っています。

また、2020 年度獨協国際医学教育研究財団賞を受賞した「新たな白色細胞組織の生理機能の解明」など、複数の基礎的研究を3人の大学院生を中心にスタッフ一丸で、励んでいます。

これら臨床や研究への注力と共に、医局員の内科医として、糖尿病医としての育成にも力を入れ、医局内の環境改善にも取り組むことで、現在 30 名を超える医局員が在籍しています。各連携病院への出向も精力的に拡大している最中です。

今後、さらなる飛躍を目指し、栃木県の糖尿病医療を支え、ひいては全国区の医局に成長できるよう努力して参る所存です。今後とも同窓会の先生方のご指導・鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

獨協医科大学 内科学(内分泌代謝)
城島 輝雄

城島先生 獨協医科大学同窓会