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コラム会報誌研究発表

獨協医科大学臓器別オリジナルデジタル教材作成にあたり

2016 年に内閣府から「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」、Society 5.0 が提唱されました。また新型コロナウイルス感染症拡大により世界中のさまざまな分野において、破壊的で予測できなかった変化によりDigital transformation が急速に進展しました。我々医療現場でもオンライン診療が規制緩和となり、需要がこれまで以上に高まっています。教育分野では、コロナ禍により生徒・教育関係者は世界規模で遠隔教育の実証実験をすることになりました。

獨協医科大学も 2021 年度から授業コマ数を減らし、アクティブ・ラーニングを導入しています。国家試験においては臨床実地関連の問題が重視されるようになり、横断的学修よりは疾患を基本とした縦断的な学習体系が注目されるようになりました。しかし現段階で縦断的教育に見合った学習教材はありません。獨協医科大学も創立 50 年を目前に「獨協オリジナル教材」を作成しようと教学 IR センター医学教育点検推進室の山岸秀嗣先生とともに今回の企画に至りました。


デジタル教材は、「疾患」という縦軸と「分野」という横軸によって構成されており、学修者の学修状況にあわせて個別の学びを提供することが可能となります。例えば、低学年で基礎医学を学修している者は横断的にその分野の教材を学修することができ、更に学びを深める者は、高学年で習得する内容の学修も可能となります。また、高学年や初期臨床研修医における活用方法としては、疾患からアプローチし、臨床医学知識習得のみならず、それらの要約された基本・基礎医学分野の知識確認に繋げることが可能となります。例として虚血性心疾患を挙げます。図 1 のように基本医学分野では英語を、基礎医学分野では解剖、生理学、薬理学を、臨床医学分野においては現病歴から治療、合併症を挙げており、各々の項目をクリックすることでその内容のスライドが出るようになっています。また外科医不足もあり少しでも外科系に興味を持ってもらえるよう手術動画を入れることになりました。これにより事前学習、また試験の解答説明に使用できるため我々にもメリットとなります。この企画は基礎医学の先生と臨床医がコラボする初めての企画となります。




今回、同窓会からこの企画に対し多大な寄付金を頂きました。主に解剖のイラストに使用させて頂いています。この企画はまず、循環器、消化器、脳神経、呼吸器、産婦人科、泌尿器からはじめ、完成まで 3 〜 5 年を要して計画しています。また軌道に乗り次第徐々に分野を拡大する予定です。また、獨協オリジナルのイラストに櫻岡先生に作成して頂いたロゴをつけることで、同窓生の方にもご使用できるよう考えています(図2)。

この企画は副学長である平田先生、小橋先生をはじめ多くの先生方からご協力を得ています。皆様方からの援助のもと獨協医科大学の財産になるオリジナル教材ができるよう心から願っています。

獨協医科大学 17 期
獨協医科大学 心臓・血管外科 准教授
柴崎 郁子

獨協医科大学 心臓・血管外科 准教授 柴崎 郁子