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コラム会報誌研究発表

「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」データ一元管理と AI 解析を用いた学修の最適 化と無限学習を目指す大学改革事業について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、これまで経験したことがない生活を強いられています。こと私たち医療関係においては、COVID-19 感染症の予防から患者の治療まで多面的な対応が求められ、骨を折る場面に直面することもしばしばあります。大学教育への影響も大きく、対面授業や実習に関しては縮小・中止を余儀なくされました。


しかし、それに代わる教育手法を勘案し、対面授業は Web 会議システムを利用した遠隔授業やオンデマンド授業に移行させたり、電子メールや SNS を活用した大学と学生の密な連絡手法の周知徹底を図ったりと、様々な電子ツールを活用して対応してきました。オンラインを活用した講義は、学生からの評判も良く、ポストコロナにおいても続けてほしいという要望が多数寄せられました。その反面、学生間や教職員との対面交流が激減し、人間関係の希薄さと愛校心の低下が危惧されています。

一方で、「IT の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義する Digital transformation(DX)という言葉を多く聞きます。また、Society5.0 にむけて、定型的業務や数値的に表現可能な業務は、人工知能(AI)技術によって代替されていき、産業界をはじめ教育業界にも大きな変化をもたらすと予想されています。

コロナ渦においてデジタル活用が急速に進み、社会が大きく変化しました。本校の教育現場でもデジタル化を推進しましたが、課題も多く、今後は人間関係の希薄さと愛校心の低下を解消し、なおかつ IT の浸透や AI の進歩によって学修者の現状に応じた「オーダーメイド教育」の提供が望まれていくでしょう。

このような情勢下で、2021 年 2 月に「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」(大学改革推進等補助金デジタル活用教育高度化事業)の取組1「学修者本位の教育の実現」に応募し、9,220 万円の補助金を獲得しました。

2021 年度からの 5 か年計画で実施される本計画は、学修者を起点とする教育の実現を目標に、学修者のデータを一元管理し、AI 解析を用いて学修の最適化を行い、最終的に個々のニーズに応じて学べるシステムの構築を目指します。そのアプローチとして、次に示す4 つのプロジェクトを実施します。(A)学修者自らが主体的に学び、個々の力を最大限に伸ばせるように学修者のデータをポータルサイトで可視化します。(B)本学だけではなく、他大学や海外の講義動画を AI で自動テロップ/ 翻訳し、また個々の学修者に最適な教材の自動表示 / 提供することで学びの機会を拡大します。(C)声 / 表情の AI 解析による新しい教育評価手法の開発によって、評価結果を学生および教職員にフィードバックします。(D)過去データの AI 解析により、支援が必要な学生を早期発見します。




本計画において、特に注意が必要となるのがデジタル教育による「リアルな人間関係」の減少です。人と接する医療人にとって、人付き合いは欠かすことのできない素養ですし、獨協医科大学の建学の精神である「学問を通じての人間形成」も達成されなければなりません。そのため、デジタルを活用しつつも人と人とのコミュニケーションの更なる展開、つまり、デジタルとフィジカルがうまく融合したシステムづくりを目指しております。将来的には、リカレント教育も導入し、同窓生の皆様にも参加して頂けるようなサイト構築を達成したく構想を練っております。

2021 年度は、ポータルサイトの基盤構築およびデータベース作成に着手しております。既存のシステムに頼ることなく、企業と共に獨協医科大学のオリジナルシステムとして構築を進めております。本事業は、吉田謙一郎学長と責任者である小橋元副学長のご指導のもと、平田幸一副学長、金子昌子副学長、両学部の教務部長、学生部長など多くの教職員および学生の皆様のご協力を頂きながら遂行しております。また、看護学教育点検推進室室長である馬醫世志子先生と協力しながら、今後もより良い教育基盤の構築および医療教育に邁進する所存です。

獨協医科大学教学 IR センター
医学教育点検推進室

山岸 秀嗣 (25 期生)