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コラム会報誌研究発表

皆既月食に思う事|会長コラムVol.8

2022年11月8日夜は皆既月食を観察するには絶好のお天気でした。皆様はご覧になりましたでしょうか。月食中に天王星食もおこるという非常に珍しい状況だったようです。私は当日の東京の夜空をゆっくりと眺めていました。午後6時くらいから始まった月食は少しずつ欠けてきて午後7時16分には皆既食となりました。この時に月は赤黒い色に変わり、午後8時40分を過ぎると月は地球の影から抜けて、午後9時49分に部分食が終わりになります。地球の影を見るという事は、その原理が理解できていても神秘的な現象に思えてしまいます。月食が地球の影だとは、昔の人は思いもよらなかっただろうなあ・・・。ビルの狭間に浮かぶ月食も素敵でしたが、東京の空にも小さな星が意外に多く観察できた事に驚きました。

提供: trikehawks / PIXTA(ピクスタ)


月食は今でこそ地球の影の中を月が通過する時に起こると分かっていますが、昔々はそれを「何かの前兆」と言って恐れられていました。時代は進み、多くの数学者や天文学者によって月食のシステムが解明され、その周期が計算できるようになりました。


日本における日食月食の解明といえば江戸時代を生きた渋川晴海が有名です。彼は元々囲碁棋士でした。冲方丁の「天地明察」は映画化もされたので、渋川晴海の名前をご存じの先生も多いでしょう。日本では平安時代から中国の宣明暦を使っていましたが、中国と日本では緯度が違うため暦にずれが生じていました。渋川晴海は、食の時期にずれが生じる事を解明し、日本独自の暦を作りました。今のようにコンピューターは元より天体望遠鏡も無い時代に、独自の観測データと手計算だけで日食や月食を計算し尽くす事は、想像を絶する努力があったと思われます。暦が完成しても、幕府に認められ天文方となるまでの苦労も並大抵ではなかったでしょう。徳川幕府第8代将軍徳川吉宗が科学技術に関心が高かった事は、渋川晴海にとっても日本の天文学の発展にとっても幸いだったと思われます。また渋川晴海は、52歳の時に日本で初めての地球儀と天球儀も完成させています。このレプリカが国立科学博物館にあり、本物は重要文化財になっています。


月食のような天体ショーも観察していると、人々の争いや円の暴落や米国の選挙などは瑣末な事に感じます。しかしそうは言っても現実に生活はあり、私達はその中で日々を生きるしかありません。殺伐とした世界の中で、少なくとも自分の周りに居る人達だけは幸せであって欲しいと願っています。


冬の足音が聞こえてきました。6年生は来年の国試に向けて勉強に力の入ってくる時期です。年末には精神科の下田先生やIRセンターの平林先生を中心とした年末勉強会も開催されます。同窓会ではこの勉強会に向けて参加者に飲み物で応援したいと考えています。飲み物の配布については、卒業生であるトモヱ乳業の代表取締役 中田俊之先生のご協力を頂く事ができました。相談に乗っていただき快く引き受けてくださった事をこの場を借りて深く感謝申し上げます。本当にありがとうございます!


来月には同窓会常任委員会が開催されます。同窓会がより良い会となり後輩たちに受け継いでもらえるように、しっかりと話し合いをしていきたいと思います。これからも同窓会を宜しくお願い致します。