活動紹介

HTLV-1関連に関する研究内容
鹿児島市の大勝病院で脳神経内科をしている松崎敏男です。(第10期生)。
鹿児島市の大勝病院と鹿児島大学病院脳神経内科でHTLV-1キャリア外来とウイルス性脊髄麻痺のHTLV-1関連脊髄症(HAM)の診療を主にしています。獨協医科大学卒業後、鹿児島大学3内科(現在の脳神経内科・老年病学)に入局してからの自分のHTLV-1関連に関する研究内容について記載致します。もともと、HAMの診療をしたかったので、鹿児島大3内科納 光弘教授の門をくぐりました。実質上の納教授の1期生です。研修医であったにもかかわらずHAMの自律神経障害について多数の患者をサーモグラフィーで検査し、翌年の日本サーモロジー学会で発表しました。研修医時代に非典型的なHTLV-1感染症の症例や鹿児島市立病院内科時代に白血病ATL診療にたずさわりました。1990年-92年鹿児島逓信病院時代に鹿児島県住民を対象に3112名の検査をし、疫学調査を行い、鹿児島県HTLV-1感染者は9.8%でした。さらにHTLV-1が危険因子となる疾患は肺疾患(喘息除く)でした。不幸なことに調査終了後、ATLLで死亡された方があり、HTLV-1キャリからのATLL発症率は0.3%でした。その後の調査でHAMからのATL発症(合併症)は約3%です。1993年―1996年国立療養所沖縄病院神経内科医長時代では筋ジストロフィー患者以外にHAM,ATL、HTLV-1感染者の診療を行い、全国HAM患者2次調査に協力し沖縄県86名のHAM患者分布を調査しました。2002年鹿児島大に大勝病院から戻ってから。専属でHTLV-1キャリア外来し、ATL制圧10年計画にも協力しました。このとき、HAM患者さん3名を集め、2003年5月HTLV-1国際学会でサンフランシスコに行く前に全国HAM患者会設立をしました。その後、その年を中心に全国の支部会支援として九州は鹿児島以外、熊本・福岡・佐賀をまわり、東京・名古屋・盛岡を回って、相談会・講演会をしました。スマイルリボン(HAM,ATL、HTLV-1キャリア)に名称かわってからも理事もして会長の支援をしています。HAMは全国で患者数が約3000人の希少疾患です。欠点は、割合は少ないですが、HAMでもATL合併が3%あります。
2005年10月1日以降、2度目の大勝病院神経内科勤務しながら、毎週金曜日鹿児島大学病院神経内科外来と同時にHTLV-Iキャリア外来を担当しています。今のところ延べ1037人見て、その中にはくすぶり型・慢性型ATL、早期発症HAM症例も入っています。2012年よりHAM以外に大勝病院でも予約で火・水曜日HTLV-1キャリア外来開始。2019年4月よりあと、現在ヒトレトロウイルス学共同研究センター鹿児島大キャンパス神経免疫学分野の客員研究員をして、HTLV-1ウイルス量検体収集をして鹿児島大学HAMデータベース、HTLV-1キャリアデータベース作成をしています。また、HTLV-1関連せき髄症のガイドライン作成委員にもなっており、血液内科グループや膠原病科・眼科・泌尿器科など含む他、研究者と連携をとっています。来年以降に、改訂版を作成する予定になっています。変性疾患中心に神経筋疾患診療を行い、HALを使ったロボットリハビリ(HAMが2023年11月保険適用)などをしている今日です。講演は、年1回のHTLV-1対策講演会(鹿児島)や難病相談をしています。2023年にスマイルリボン会長の依頼で教えてHTLV-1のことシリーズの「HAMのこと」(南方新社)を執筆して、説明書として使用しています。
ちなみにHAM患者は全国に分布していますが、その中でも九州(沖縄感染者20%>福岡、鹿児島・熊本・宮崎・長崎・大分・佐賀)以外では関東・関西地区に分布が多く、北は、東北(特に宮城)、北海道になります。HTLV-1感染に関しては、妊婦検診は義務化されています。しかし、保健所での無料抗体検査は九州ではできますが、他の地域ではまだ機能していません。水平感染の問題は現在でも残っているのが、この感染症の実情です。ちなみにHTLV-1感染症はHIVと比べて患者が少なく赤道中心に分布しているため、外国の研究では南米を含むアメリカ、イギリス、オーストラリア、イラン、中国が中心になっています。これからも啓蒙活動はしていくつもりです。
2024年記載
獨協医科大学卒業10期生 松崎敏男(医療法人三州会大勝病院脳神経内科)