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コラム会報誌研究発表

変化について|会長コラムvol1

かつて兼好法師が ʻつれづれなるままに、⽇くらし硯にむかひて、⼼にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくればあやうしこそものぐるほしけれʼ と書き始めたのは、彼が宮廷の権⼒争いに疲れて出家してからと⾔われています。

私はまだ引退してはいませんが、これからの会⻑在任中に時々のʻよしなし事ʼを書いていきたいと思います。なお同窓会員の皆様からもエッセイ等を募集しておりますので是⾮同窓会までご連絡ください。



先⽇「マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)」と「ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)」のコンサートに⾏ってきました。演奏は素晴らしく、うっとりとした時間を過ごす事ができました。当⽇はアルゲリッチの誕⽣⽇だったようで、クレーメルの奏でるハッピーバースデーの曲がアルゲリッチだけではなく会場の全ての⼈を幸せにしてくれました。アルゲリッチは1965年のショパンコンクールで優勝したアルゼンチン出⾝の世界的ピアニスです。どんな作曲家の作品を演奏してもいつでも必ず美しい⾳楽を私たちに提供してくれます。


クラッシック⾳楽は数学と同じように変わる事のない論理があります。古くはバッハの時代から、楽譜に書いてあるように楽器を奏でるのです。では楽譜通りに弾いたとして、演奏者全員が同じ⾳を奏でられるのかというと話は別です。

ピアノを例えにしてみましょう。

「ド」の⽩鍵を指で押すとドの⾳がでます。「ド」はだいたい130Hz くらいで、誰が押しても同じ130Hz です。では⾳楽として「ド」の⾳を弾いた場合、それはただの130Hz ではありません。つまり演奏者によって響きが変わって聴こえます。特に⼀つの曲の中の⾳として聴いた場合はさらに変わってきます。

数年前にアルゲリッチが⽇本でベートーベンのコンチェルトを演奏した際、偶然にも彼⼥がスケール(所謂ドレミファソラシド)を弾いたのを聴く事ができました。スケール⾃体がすでに⾳楽でした。

アルゲリッチは⽣来の天才ピアニストです。そして奏でる⾳は全てが美しい。しかし過去の演奏を良く知る者として強く感じる事は、常に変化しているという事です。クラッシックなので楽譜が変わる事はありません。しかし彼⼥の演奏は確実に⽇々より美しい響きをもって聴衆を魅了するのです。それはテクニックだけの問題ではなく⼈としての経験なのでしょうか。天才ピアニストでさえも⽇々変化していくのです。


私たちの同窓会は1979年に始まりました。そこから43年を経た今、何を守り何を変えていけば良いのか、私たち執⾏部は⼀⽣懸命考えて今のそして未来の同窓⽣に向き合っていきたいと考えています。それは今までの全てをひっくり返す事ではありません。しっかり考察して同窓⽣皆なの同窓会をより良い会にしていくべく努⼒し、良い変化をお⾒せできたら幸いと考えています。